インタビュー
小谷美紗子
世間の葛藤や恋愛の感情を綴った生々しい鼓動が息づくより進化した小谷美紗子の姿がここに!
96年のデビュー以来、一貫して《愛》と《社会》を独自の視点で歌い上げ、女性ボーカリストの中でも異彩を放ち続けてきた小谷美紗子が待望の新作『CATCH』を完成させた。前作『adore』に引き続き、中村一義率いる100sの玉田豊夢(Dr)、山口寛雄(B)とともに制作されたこのピアノ・トリオ・アルバムは、緊張感あふれる演奏が胸を抉るタイトル曲をはじめ、ファンキーでアグレッシブな「Rum&Ginger」、早くも名曲との評判の叙情的で美しい「Who」など、バラエティに富みながらも、トリオならではのシンプルで強いサウンドをさらに尖らせ、よりひとつひとつの音の輪郭が鮮明に聴こえてくる傑作に仕上がっている。そんな自信作を完成させたばかりの彼女に本作のことを中心に語ってもらった。
●前作『adore』は、ゲストを迎えつつピアノ・トリオで録音した作品でしたが、今回の『CATCH』は3人だけで録音を…。
「そうです。ピアノ、ベース、ドラム、そして私の声を、本当に傍で聴いているような音で録音したくて、それにすべてを集中させたので、他のミュージシャンを呼ぶ暇もないくらい、ひとつひとつの楽器を突き詰めていった感じです」
●最初にこのアルバムを聴かせてもらったとき、『adore』と比べるとシンプルになったと思いました。でも何度も聴くと、ベース・ラインは良く唸ってるし、ピアノも独特のグルーヴ感を醸し出していて、今言っていた《ひとつひとつの楽器を突き詰める》という言葉の意味がすごく分かりました。
「やっぱりパッと聴いたとき、楽器は少ないしギターの派手なフレーズもないので、地味だと思うかもしれませんが、音の隙間をそれぞれの楽器がしっかり埋めていたり、わざと空けたりしているので、きちんと聴いてもらったとき、ひとつひとつの音がすごく良い音に感じてもらえると思います。録音する前は《本当に3人でできるのかな?》って気持ちもあったんですが、絶対に出来ると信じて挑戦しました」
●あと、今回のアルバムは英語の比重が高いような気がしました。例えば『adore』の「春遅し」では俳句からの影響も窺えましたが…。
「自分の書いたメロディを英語で歌うのが一番好きなんです。だけど、伝えたい人が日本人だったり、曲の向けている先が日本語を理解してもらえる場所だったら、きちんと内容を伝えたいという気持ちもあるんです。そうやって歌詞をかなり自由に書いた結果がこうなったという感じです」
●じゃあ、言葉は最初に英語で出てきちゃう?
「そうですね。それで、ここは多くの人に共感してほしい、と思ったら日本語で表現するようにしています」
●英語のときはノリで聴いてほしいときとか…。
「はい。あとは内容がヤバすぎて日本語に出来ないときとか(笑)」
●ああ「Rum&Ginger」は、禁句の連発ですもんね(笑)。アグレッシブでファンキーなナンバーですが、サビの部分で気だるそうに歌っている小谷さんのボーカルとの対比が面白かったです。
「そこを感じてもらえると嬉しいですね。あそこは完全に見下しているイメージなんですよ。裏切られて怒っているんですけど、それすらも通り越して《何てバカな男なんだろう》っていう、チョー軽蔑、チョー見下しの眼差しで私が上から見て楽しんでいるという(笑)」
●男としては《チョー怖い》歌ですねぇー(笑)。一転して「Who」は叙情的な美しいナンバーに仕上がりましたが。
「アルバムのバランスは考えますが、基本的に私が何を書きたいのかを最優先しているので…。「Rum&Ginger」は最悪な男へ向けた歌ですが、「Who」はそれ以前と言うか、悪いところを見ずに終わった恋を歌っています」
●恋愛の初期みたいな。
「そうです。良いところだけしか見ないで終わった恋…。だから自然と曲調も優しくなりますよね」
●「楽」はリズムが凝っていますね。この曲以外もそうなんですけど、『CATCH』は今までの作品の中で一番リズムのウネりを感じましたが…。
「トリオの一番良いところを活かせるリズム隊にしたいと考えていたんですよ。特にこの曲は、腕の見せどころという感じになっていますね」
●「名も無き人」はピアノの響きが心地良いナンバーですが、やっぱりリズムが目まぐるしく変わっていきますね。
「歌詞を一番聴かせたいところとか、ため息ついているような気持ちを歌っているところとか、歌詞が聴こえてくるようにアレンジしていったら、自然とリズムも変わってしまって…」
●「奇跡」は小谷さん史上最も哀しい詞だそうですが。
「確かに私が今まで一番哀しいと思っていることを歌にしたんですが、レコーディングのときにマイクの向こうで多くの人が聴いているという状況を考えたら、感情が入りすぎて歌えなくなっちゃったんです。実際にそのテイクを使っているので、歌詞が何を意味しているのか分からなくても、切ない感じはたぶん伝わると思います」
●「雪でもいい」は美しいバラードになりましたね。
「《何で平等じゃないの?》ってことを歌っています。日本ではポイポイ捨てるものを、何故違う国では何人もの人が奪い合うんだろう?ってずっと思っていたんです。確かに明確な答えは出せないかもしれませんが、それに対して考えることと、その答えを追い求めることはずっと続けていきたいので、人の前で歌うチャンスがある限り、こういったメッセージは発信していきたいですね」
●アルバム・タイトルになっている「CATCH」は《愛を手繰り寄せ、真実を捕まえてみろよ…》と何度も歌われていますが、特に恋愛について歌ったという訳では…。
「一応、恋愛について歌っているんですけどね。大して好きでもない人と結婚する人っているじゃないですか。本当に好きな人は他にいるのに…。そういうときに、自分が信じる方を捕まえることの方が大事じゃないかと。私ももう29歳でそんなことを考える時期なので、それを歌にしてしました」
●この10年間で小谷さんの恋愛感はどう変わりましたか?
「男は浮気する!ですかね(笑)」
●えっ…、そうですか……(汗)
「例えば自分が好きな人に限ってとか、みんながする訳ではないと思っていたんですが、100%するという認識に変わりましたね(笑)」
●えー、話を戻しましょう(笑)。次のアルバムではどんなことを考えていますか?
「トリオ2作目にして、やっと音が固まってきたので、もっとピアノの腕を磨いていきたいです。歌は誰にも負けない!という気持ちでずっとやってきましたけど、ベースもドラムも上手すぎるので、ピアニストとして私もそこまで辿り着かなきゃいけないと思っています」
CATCH
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小谷美紗子
Trio TOUR“CATCH”
7.19(水)大阪心斎橋CLUB QUATTRO
7.20(木)名古屋CLIB QUATTRO
7.26(水)渋谷CLUB QUATTRO
全会場18:30 OPEN/19:30 START
¥4,500(税込/ドリンク別)
info:HIP LAND MUSIC 03-5411-4808




